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代々木忠プロフィール

いつも姉の後ろにいる妹

 姉、22歳、アダルトビデオ女優、結婚2年目、一児の母。

 妹、18歳、姉の撮影現場に子守兼雑用係としていつも同行、尊敬する人物は姉。

 

 撮影1日目。まず姉がバスルームで男優の加藤鷹と一緒にシャワーを浴びる。体を洗い合っているうちに彼女は感じ、早くもSEXが始まる。

 

 その後、加藤鷹はモニタールームへ行き、妹にちょっかいを出す。妹は照れて、相手にならないように努めている。私はその様子を控室にいる姉にモニターで見せ、

「もしも妹がOKしたら、やってしまってもいいか」と尋ねた。姉は、

「見てみたい。見たことないのよね、いつも私が見せるほうでしょ」

 

 ベッドの上で、姉と鷹の第2ラウンドが始まる。その一部始終を、今度はモニタールームにいる妹に見せていた。

 

 妹はモニターを見ながら、男優の太賀麻郎と談笑している。雑談の中で、妹は麻郎のヒゲがないほうがいいと言い出した。すると麻郎は、躊躇なく電気カミソリでヒゲを剃ってしまう。きっと妹は何かを麻郎に感じていることだろう。2人の心の距離が近づくのを、私は横目で見ていた。

 

 モニタールームの奥のベッドの上で、妹と麻郎は裸になった。彼女はひたすら照れながらも、麻郎に抱かれた。途中で、姉と鷹がのぞきに来る。それに気づいた妹は「イヤだ。見ないで」と言うが、麻郎はやめようとしない。

 

 しばらく時間をおいて、私は姉と麻郎がカラむように仕向けた。そして、それをあえて妹に見せた。妹は悲しい顔をしながらも、本気で2人を怒ろうとはしなかった。

 

 幼いころから姉は、自分の欲しいものをいつも手に入れてきた。それにひきかえ妹は、欲しいものを親に言うことすらできなかったという。彼女は欲しいものを万引きした。親を困らせることでしか、彼女は親の関心を引けなかったのだろう。現在まで、ずっと彼女は自分の本心を人に明かすのが苦手なままなのだ。いつも姉の後ろにいて、そこにしか自分の居場所を見つけられなかった妹。

 

 撮影2日目。妹と麻郎を、私は呼んだ。

「きのう、麻郎がヒゲを剃ったじゃない。あれはほんの些細なことかもしれないけど、今まで男がそんなこと、してくれなかったわけだ」

「なかなかしてくれないよね……」と彼女はうつむいた。

「ヒゲぐらい、いいじゃない。マユ毛剃ったほうがいいと言われても、剃ったりはしないと思うけど」と麻郎は笑った。私は彼女に言った。

「麻郎に抱きついてごらん。自分から麻郎にキスしてごらんよ」

 

 彼女はしばらくためらっていた。そして、それから麻郎の唇に自分の唇を重ねた。両手を自分から彼の背中に回して。私はそれを見届け、黙ってその部屋を出た。

 

『色即是空』より


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