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代々木忠プロフィール

盗撮という仕掛け

 私は作品の中でいろいろな仕掛けをすることがある。盗撮もそのひとつである。

 

 たとえば、男優と女優がカメラの前でSEXをする。でも、女優が女優のままSEXをしていると、ぜんぜんおもしろくない。そんなとき、彼女のベッドルームに隠しカメラを仕掛ける。その日の撮影が終了して、彼女は自分の部屋に戻る。私は男優に彼女の部屋に行ってSEXをするように伝える。彼は「監督には内緒だけど」と言いながら、彼女といい雰囲気になっていく。彼女だけが知らされていない。知らされていないから、昼間にカメラの前で見せてくれたのとは、かなり違ったSEXとなる。

 

 またあるときは、離婚した人妻と私が2人で旅館に行く。彼女はSEXを期待してビデオに出演している。彼女の頭にあるのは、AV男優とのSEXである。久しぶりのSEXにいろいろなイメージが渦巻いているかもしれない。だが、男優と彼女のSEXが、私にはある程度想像がついてしまう。そこで、男優は時間をずらし、彼女に気づかれないように旅館に入る。入ったら、旅館の番頭さんが着ている半纏(はんてん)を借りる。先に彼女がオナニーしているところを撮ったテープを部屋のモニターで彼女自身に見せる。彼女が見はじめると、私は外の景色を撮りに部屋をあける。そこへ番頭さんがやってくる。部屋にはカメラが仕掛けられている。

 

 他にもいろいろなシチュエーションがあるが、考えてみれば、どれも監督のずいぶん勝手な方法論である。盗撮された彼女たちの了承はもちろんその後にもらうのだけれども、なぜ私はそうまでして彼女たちを撮ろうとしたのか。

 

 きっとそれは、「だれにもわからなかったら、人はいったい何をするのだろう」という思いがいつも私の中にあり、どうしてもそれを私自身がのぞいてみたかったからに違いない。

 

『色即是空』より


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