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代々木忠プロフィール

親が子供にできること

 親が子に何をしてやれるかと言えば、結局、自分の生きざまを見せるしかないのだ。私には今、中学3年と小学校6年になる2人の娘がいるが、2年ほど前から娘に対してありのままの自分を見せられるようになった。自分のことは棚に上げて、親の建て前で娘になにかさせようとはしない。これは楽である。娘たちの前で無理して立派な父親を演じる必要もない。

 

 すると、子供は親の長所も短所もちゃんと見てくれる。そして「お父さん、そんなことしたら笑われる」とか「お父さんはそういうところがダメだね」とか指摘してくれる。その都度、私は彼女たちの言うとおりだと思ってしまう。私が娘から教わるのである。

 

 こんなふうに言うと、ありのままを見せてしまったら子供にバカにされるんじゃあないかと思われる方もいるかもしれない。子供がヨチヨチ歩きの時には「お父さん」「お母さん」と慕っていても、物心がついてきて先生や友達の親と比較することにより、たとえば「なぁんだ、お父さんは算数も弱いんだ。国語も苦手なんだ。キャッチボールしても僕より下手なんだ」というように、自分を見下しはしないかと不安になる方もいるかもしれない。

 

 だが、自分の全部をさらけ出してくれている親を、どうして子供が見下したりするだろうか。それどころか、人は弱い存在というのが、実は自分にとって一番大事なものなのである。だからそういう親がいれば、子供は家庭にいつくはずだ。ひょっとしたら親にいろいろ説教をするかもしれない。でも、娘が私の欠点を指摘したのと同じように、子供が親に説教をすれば、結果として自分はどうすればいいのかを子供自らが選択したことになるのである。

 

『オープン・ハート』より


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