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代々木忠プロフィール

形にとらわれないSEX

 本来アダルトビデオは見世物である。どんなきれいごとを言おうとも、よそのお嬢さんや奥さんの股ぐらでメシを食っているという思いが、私の心にはずっと巣くっている。

 

 処女と童貞のカップルがラブホテルに行って顔面射精をしたという話を聞けば、その責任は私にもあると思う。そこで、日比野達郎と加納妖子、加藤鷹と樹まり子という実際につきあっている2組のカップルに、アダルトビデオのカラミではない、本当のSEXを見せてほしいと頼んだ。

 

 この業界の暗黙のルールとして、同じ作品の中で本当のカップルを組み合わせることはほとんどない。仕事と私生活の間には一線が引かれているのである。だから私の依頼は、ある意味では業界のルールを破る行為でもあった。

 

 プロだったら、それくらい平気だろうと思う方もいるかもしれない。だが、実際にはプロだからこそ、プライベートのSEXを見せたくはないのである。にもかかわらず彼らが承諾してくれたのは、作品の趣旨を理解してくれたのと、代々木だったら、まさか自分たちを晒しものにはしないだろうと思ったからではないだろうか。

 

 2組のカップルは、形にとらわれないそれぞれのSEXを見せてくれた。それをまのあたりにして、こういうSEXをみんなができるといいなぁと、私は思った。みんながお互いの目と目を見つめ合い、溶け合うようなSEXができれば、本当はアダルトビデオなど必要ではないのである。

 

『色即是空』より


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