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代々木忠プロフィール

彼女が打ち明けてくれた本音

 28歳の人妻を面接した。彼女は、浮気を続けていくためにお金が必要だと言う。夫とのSEXではなにも感じない。夫も彼女を不感症だと思っている。浮気相手とSEXするときはホテル代まで彼女が出し、たまにはネクタイや服も買ってあげたいと言った。ビデオの出演料はそのために必要なお金なのだ。

 

 何に使おうが本人の自由だが、私は彼女をかわいくないと思った。そして同時に、勘違いしている彼女をなんとかしてやりたいとも思った。顔は撮られたくないという条件を承諾し、彼女と2人で千葉にある別荘に出かけた。2人で過ごす2泊3日のうちに、彼女の心を私は開かなければならなかった。

 

 撮影最後の日、やっと彼女はポツリポツリと話しはじめた。それはこんな内容だ。

 

 結婚相手を選ぶとき、私はあまりにも計算しすぎた。私の家はすごく貧乏だったから、財産のある人と結婚してしまった。しかし、結婚はそんなものじゃあないってことに今ごろ気がついた。現在つきあっている人は、私のそういう気持ちをわかってくれる。でも、実家の父は主人の会社から仕事をもらっているし、離婚することはできない。

 

 彼女は泣きながら、私に打ち明けてくれた。東京へ帰る車の中で彼女は、何だかわからないけど、今、無性にうれしいと言った。

 

 それから何日か経って、彼女が事務所にやってきた。自分の顔が本当に映っていないかをチェックするためだった。私は彼女に、ダンナとSEXをしているかと聞いた。もし夫とのSEXを楽しめれば、彼女は苦しみからの出口を発見できるかもしれないと思ったのだ。

 

 ところが、彼女はぜんぜんしていないと言う。しかも、彼とは前よりも激しく愛し合っているらしい。彼女はなにも変わっていなかった。私は腹が立った。だから、別荘でやった以上に徹底的に彼女のエゴを落とそうとした。ムチとバイブでさんざん攻めた後、彼女に言った。

 

 「あなたは自分を責めてるんだよ。でももう自分を許してやりなよ。そして、ダンナのオチンチンをしゃぶってごらんよ。それが愛だと思うし、それによってあなたは救われると思うな」

 

 彼女は無言のままうなずいた。そして、それから静かにこう言った。

 

 「ダメ。たとえ夫と寝ようと何をしようと、私はやっぱり彼が好き」

 

 それはひょっとしたら彼女が私に言った唯一の本音かもしれなかった。この言葉が作品のエンディングとなった。もしも、この言葉の直前で作品を終えてしまえば、見る人はまったく逆の結末を読み取ることだろう。だが、私はそれをしなかった。私は最後まで彼女に負けたくなかったのかもしれない。

 

『色即是空』より


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