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代々木忠プロフィール

いいSEXをするための条件

 これからアダルトビデオにデビューしようという2人の女の子を、先輩の女優や男優が実技試験を行なって、その合否を判定するといった内容の作品がある。

 

 まず1人目の女の子のSEXは、テクニック的に稚拙だったし、映像としてはとても地味であった。

 

 にもかかわらず、その場にいた女優や男優、そして私から見て、彼女のSEXは好感の持てるものだった。たとえば、フェラチオひとつを例にとっても、その行為には男優を気持ちよくしてあげたいという素直さとひたむきさが感じられた。

 

 また、女性上位でフィニッシュを迎えるとき、男優が腰を引こうとすると、彼女は自分の腰を彼に押しつけた。彼は彼女の中へ出した。男優は「逃げ切れなかった」と言う。

 

 次にもう1人の女の子の番となった。この子の場合は先の子と対照的に、大きな声で悶え、派手なSEXを見せてくれた。私の中には、新人がここまでやるのかという思いがあった。そして同時に、そのパフォーマンスが過剰で、鼻につく部分があったのもまた事実である。

 

 合否の判定では、先の子が合格となり、後の子が不合格となった。2人の相手をしたのは1人の男優だが、彼はこんなことを言った。

 

 「SEXをしていて、僕が自分を出したとき、相手も自分を出してくれていれば、それを感じる。だからそれを感じるかどうかで、女の子のタイプは2つに大きく分かれる。かりに同じ時間SEXをしていたとしても、1つは“立たしとかなきゃなんない”というタイプであり、もう1つは“この子のために一生懸命やろう”というタイプである」

 

 合格となった子の場合、SEXに本当の自分が参加していたのである。だから、男優もそれを感じ取ったし、フィニッシュではコンドームをつけていたとはいえ中へ出してしまった。でも、私はそれがSEXではないかと思う。

 

 それにひきかえ、不合格となった子は、最後まで自分を演じようとしていた。一見派手に見えるけれども、それが努力になってしまい、心が伝わってこない。心の入っていない抜け殻がいくらSEXをしても、見ている者は欲情などしない。事実、男優は彼女とのカラミの途中で萎(しぼ)んでしまった。

 

 心がそんなに手にとるようにわかるのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。だが、自分が体だけでなく心まで裸になっているとき、相手の思いというのはとてもよく伝わってくる。それは相手に演技力があろうがなかろうが、である。

 

 そして、そんな心のコミュニケーションにおいて、テクニックは重要ではない。自分の気持ちよさを飾らず偽らず表現していくことと、相手を愛しいと思うこと、それがあれば、だれでもいいSEXができると、私は思う。

 

『色即是空』より


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