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女性に読んでほしいコラム


第42章 夜のオツトメ

 「ザ・面接」に出た、ある女性の話である。四十路の熟女なら、いやらしい映像が撮れるだろうと、ついついこちらも期待する。彼女は2度離婚していた。

 

 最初の結婚では、夫がセックスしなくなったことが離婚理由だという。なので、同じ失敗をくり返すまいと彼女も次は気をつけた。再婚では、1週間に何度もしてくれる性欲旺盛な男を選んだのだそうだ。ところが、2度目の夫も日を追うごとに彼女を抱かなくなってゆく。

 

 彼女と事前面接で話したとき、オチンチンへの興味や体位への関心が伝わってきた。ああ、セックスが好きなんだなぁというのがよくわかる。つまり、いやらしいのだ。いやらしいのだけれど、ついぞ色っぽいなぁとは感じなかった。「セックスで目を見たことがない」と言う彼女に「目を見ないと男はしなくなるよ」と僕はレクチャーした。いつも以上に丁寧に。やることはやったから、あとは現場次第だ。

 

 撮影当日、控室で出番を待つ彼女の様子を見に行った。「どんな気分?」。彼女は僕を見ながら真剣な眼差しで「水を一杯ください」と言う。緊張してるのかもしれない。「のど渇いたの?」と訊く僕に、彼女はこう言った。「いえ、いっぱい飲んで、潮を吹きたいんです」。僕の中で暗雲が垂れ込める。まぁ、なるようにしかならんか……。僕は助監督に水を持ってくるよう伝えた。

 

 現場が始まった。レクチャーはどこへやらで、彼女は相手の目を見ない。「男優さんの名前を呼んで、今だけでも好きになれ!」と言ってはみたが、性器の結合部をしきりに見ている。まぁいいやと思った僕は、それなら存分に見せてやろうと男優にマングリ返しを注文した。「見える! 見える!」と彼女は歓んでいる。

 

 それは正常位でしているときも同様で、下の入っているところを見ようとする。そのうえ、ファックしながらお尻のほうから手をまわし、結合部分をさわっているのだ。絵柄的にはいやらしいものの、見ていて伝わってくるものがない。僕は「これじゃ、男はしなくなるわ」と気づいたら口にしていた。

 

 彼女を見ていると“頭”が欲情したくて仕方がないという感じだ。辛辣な言い方をすれば、自分が猥褻感を感じるとこだけで遊んでいる。そして、それがセックスだと考えている。目の前の相手の思いを汲んだり、気持ちよさを共有してはいない。こうなると、男にとっては、もう義務である。しかも、別れた夫に彼女が求めたように、その要求は週何回やったところで満ち足りることはない。

 

 義務はトキメかないし、高揚しないし、相手を愛おしいとも思えない。射精はしても、疲れと空しさが残る。これでは男はしなくなるのだ。ただし、彼女がレアケースかといえばそうでもない。そこには、現代社会が抱える問題も見え隠れする。それについては次章で紹介したい。