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女性に読んでほしいコラム


第13章 “膣トレ”は本当に効くのか?

 男たちが草食系になっていくのは、日本が長きにわたって平和だったというのもあるだろう。平和なのはもちろんけっこうだが、種の存続の危機もない。だから、オスがオスとしての野性を発揮する場も同時に失われていった。

 

 ミルク(哺乳瓶)が母乳に取って代わったり、ベビーカーがブームになったりと、乳幼児期にスキンシップが充分に取れていないというのも、原因としてはあるかもしれない。つまり、人と人が肌を合わせたときの、あの温もりや心地よさを体験として持ち合わせていないのではないかと。

 

 アダルトビデオも草食系化にかなりの影響を与えたというか、拍車をかけたのではないかと思う。アダルトビデオが世に出るまでは、あそこまであからさまに女の性というものを見せつけられはしなかった。映画で濡れ場シーンがあったといっても、しょせんは男たちが頭の中で作り出したものにすぎない。

 

 ほとんどのAVがどんどん過激になっていくなかで、それを見てきた男たちは、こと自分のセックスに重ね合わせてみたとき、「あんなの、俺はできない」と思わなかっただろうか? 女たちがあそこまで乱れ狂い曝け出すのを目の当たりにして、「とてもじゃないが太刀打ちできない」と本音のところで引きはしなかったろうか?

 

 男とはつくづくナイーブな生き物である。だからこそ「男らしく」「男らしく」と育てられる。それに対して、女は生来たくましい。「怒りゃ膨れる、叩きゃ泣く、殺しゃ夜中に化けて出る」といわれるくらい、女の生命力というか人間力は強い。「女らしく」という旧来の枷(かせ)も外れ、社会進出とともに女たちも主張するようになったし、本性を出せる時代になった。

 

 かつてセックスのマニュアル本といえば、男向けが相場だったが、今や女向けのセックス・マニュアルも数多く刊行されている。その中には「膣トレ」なる項目もある。かつて「ザ・面接」に出た一人の女の子が、マンコ・バーベルで毎日鍛えていると話していたが、女たちはこういう本を読んで研究し、膣のトレーニングをしているのだろうか。このありようは自らを商品化しているように僕には見えてしまうのだが……。

 

 男にせよ、女にせよ、マニュアル本でセックスのテクニックを研究するのって、根っこのところで自分を信じていないからではないだろうか。この地球上に最初の生命が誕生したのは、今から36億年前とも38億年前ともいわれる。いずれにしても、僕たちの本能というものは、三十数億年という悠久の生命記憶を有していることになる。そんな本能に根づいた自分という生き物を、もう少し慈(いつく)しみ、そして好きになれば、もっと自分を信頼できるはずだと僕は思う。

 

 多くの女の子たちと話をしてきて思うのは、男にペニス・コンプレックスがあるように、女たちはアソコの締まりがいいとか悪いとかを気にしがちだ。その気持ちもわからないではないけれど、いちおう現場のプロとして言わせてもらえば、「膣トレなんて無用だよ」である。

 

 膣トレで周辺の筋肉が発達し、感度がアップすることは否定しないが、膣トレをやらなくても、気持ちが入れば膣は包み込むように締まってくる。だから、本能に根づいた恋愛感情を無視したセックスからは、決してオーガズムは起きないということを知るほうが大切だと思う。

 

 むかし日活で「セミドキュメント 名器の研究」という映画を撮ったことがある。当時、名器として名高い桜マミという女優に出てもらった。彼女はアソコでタバコを吸って銘柄を当て、グラスに入ったジュースもビニール管で吸ったり戻したりできた。ロケのとき、マミが僕につぶやいた「でも、みんな、私のココが珍しいだけ……」という言葉が印象に残っている。

 

 ある人はセックスの快感を得ようとして、またある人は自分の存在価値を高めようと、たくましくも、違う方向に走りはじめた女たち。そんな女たちに腰が引けて「草食系」というシェルターに逃げ込む男たち。このままでは、男と女はつながれない。その一端にAVの罪があるならば、男と女が本当につながるためのヒントをアダルトビデオが示さなければならない。