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第12章 男が“中折れ”してしまう理由

 「ザ・面接 VOL.112 本気汁フェスティバル 肉食系女の時代です」を題材に、「男にとってのセックス」について順に見ていこう。

 

 出番を決めるクジ引きで「1番」を引いたのは、森林原人と二村ヒトシ。

 

 トップバッターの女性は山下ゆかり(24歳)。1歳の子どもがいる主婦である。元自衛官(4年間勤務)であり、現在はアパレル関連の会社でパートをしている。夫も含めて男性体験は5人だが、全員自衛官。オナニーでイメージするのは、夫の長期出張中に元彼の自衛官を呼んで自宅でした浮気だそうだ。

 

 二村は意を決して、自分と森林のどちらを選ぶか、ゆかりに迫った。結果、ゆかりは二村を選ぶ。ところが行為の最中、ゆかりは「痛いっ!」をくり返し、二村は何度か中折れした。

 

 面接にやってくる女性をあの手この手で剥いてゆき、彼女たちの素のセックスを見たい、たとえ瞬間であっても相手と心を通わせたいと思うのは、男優も僕も同じだ。「瞬間恋愛」に重きを置いている理由もここにある。「ゆかり、ゆかり!」と何度も名前を呼びながら、二村が相手とつながろうとしているのはよくわかった。だが、ゆかりはそれに応えようとはしなかった。

 

 いったんカメラを止めてから、僕は彼女に訊いた。「あれだけ名前を呼んでいるのに、なんで君は一度も呼んであげないの?」。ゆかりは「好きな人」とだけ言う。「それ、どういう意味?」と重ねて訊くと、「ダンナ以外の好きな人」と彼女は答えた。そのとたん、審査員たちがざわついた。「えーっ、それはないよぉ」「それじゃあ、可哀想だよ」「おカネ欲しくて来てるのに、好きな人と出られるわけじゃないんだから」……。

 

 つまり、ゆかりは不倫相手に操(みさお)を立てて、心を開かなかったというわけだ。休憩時間、男優たちの話題は山下ゆかりで終始した。「あんな女はAVに出ないでほしいよなぁ。傷つくんだよ、男は」。心を伴わない、形だけを見せる"仕事"なら、相手が心を開かずとも男優は傷ついたりしない。しかし、男優以前の、素の男として相手に向き合ったときには、彼らも傷つき、萎えてしまうのである。

 

 次に「2番」を引いたのは、吉村卓と鈴木一徹だった。

 

 やってきたのは、白咲ココ(20歳)。昼は実家の美容室を手伝い、夜はキャバクラで働いている。現在、彼はいないが、28歳と41歳のセフレがいるという。僕は、ココが放つ柔らかなオーラから育ちのよさを感じていた。

 

 男優たちは、隊長の市原が出演動機やプライベートの性生活を聞き出している短い時間に、女のストライクゾーンを見つけ出さなければならない。一徹がまだスタンスを決めかねている間に、卓は迷いなくココに語りかけ、その太腿に手を這わす。このあたりにキャリアの差を感じる。

 

 なすがままのココに「好き勝手されちゃうぞ」と僕は振ってみた。ココは「好きにされたい……」と言う。どうやら3Pを望んでいるようだ。

 

 先に挿入したのは一徹だったが、途中で萎えてしまう。一徹はスポーツで汗を流すとかして、本能センターを鍛える必要がある。体を使って汗を流した翌朝は、朝勃ちの硬さが違うはずだ。

 

 余裕の卓がバックから攻め、正常位で決めた。一徹が再び挑戦するが、途中からテンションが落ちていくのがわかる。ファインダーの中の一徹がイコうイコうと頑張ってしまっているのが見えるのだ。中折れも時間の問題だなと思っていると、森林が一徹の肩を叩きながら割って入る。一徹を救う絶妙のタイミング。そして、よどみなく流れるようなセックスを見せる。いつもそうだが、森林のセックスは撮っていて心地よい。

 

 先の二村も、一徹も、頭がよく思考オクターヴ系の人間だ。思考系の場合、自分から感情を出すのが不得手である。相手の女の子が本能系や感情系だったり、心から欲情してくればいいセックスができる。でも、そうでない場合は中折れもしやすい。それに対して銀次や森林は、たとえ相手が心を開かなくても、中に入ってこじ開けていこうとする。その技を持たないと、相手が思考系で、なおかつ欲情していない場合はなかなか難しい。

 

 トリの「3番」を引いたのは、平本一穂と佐川銀次である。

 

 彼らが面接するのは、管野しずか(21歳)。今年4月離婚。3歳の子どもがいる。男性体験は元夫を入れても3人。きっと彼女は感情のこもったいいセックスをするだろうなぁと僕は予測していた。

 

 ベテラン男優の2人は阿吽(あうん)の呼吸で、しずかの本性を白日のもとにさらす。「オマンコにください。はい、そこです。そこがいいです。オチンチン、気持ちいいです」。女の内面に入り込む技に磨きのかかった銀次は、相変わらず見せてくれる。やはりこのあたりは体験から来るものだろう。攻められるしずかのM女ぶりが、審査員たちの視線を釘づけにする。

 

 「銀次さん、いいです。銀次さん、もっといっぱい突いてください。気持ちいいです」。この言葉は熟女を思わせる。とても21歳とは思えない生々しさが伝わってくる。

 

 しずかは何度もヤマを迎えた。ここは銀次の真骨頂である。しずかは涙を流しながらイッた。まさに目合(まぐわい)だった。女たちが心を開くのは、なにも巨根ゆえではない。感情のこもった銀次とのセックスは、審査員たちの股間を濡らすのには充分だった。

 

 審査員の3人が順番を決めて、片山邦生に乗っかる。片山はタマと乳首を同時に攻められると、固まってしまうという特性を持っている。ときに失神状態にさえ陥ることもある。得意技のスーパーラッシュなど、攻めに強い彼は、同時に人一倍敏感な体質の持ち主なのだ。「気持ちよかったら、声を出してあえげよ。そうしたら固まらなくてすむんだよ!」と僕は事あるごとに言うのだが、片山は決してM男になろうとはしない。

 

 一方、二村は審査員の1人から騎乗位で攻められ、「レンちゃん、イクーっ! レンちゃん、レンちゃん!」を連呼しながら女の下で果てた。見ていて実に気持ちがよさそうだった。男も女の名を呼びながら、M男になってイクというのは、やってみる価値がある。

 

 平本も審査員の1人につかまり、翻弄(ほんろう)され、女にイカされてしまったというようなイキ方だった。平本のイキ方はダイナミックで、見ていて心地いい。男の声など邪魔になるという理由で、もともとAVにおいて男優はイクときに声を出したりしなかった。でも、平本はガマンできずに声を出した。今でこそ男優が声を出しても驚かれないが、そこは平本の影響が大きかっただろうと僕は思う。彼のイキッぷりは男たちの手本である。

 

 片隅では、一徹がまた別の審査員といいセックスをしていた。心から欲情した女とのセックスでは、一徹も中折れしない。

 

 このように作品の後半では、審査員たちが肉食系女のセックスの凄さを見せてくれたが、あえて男優にフォーカスをあて「男にとってのセックス」を主題に書いてみた。参考になれば幸いである。